調弦



平気な顔をして文章の体裁ばかり見つめて生きている。

そんな最中に「クソッタレ」って叫びたくなることを自制しているから私は大人なんだ。


いまだに、工事現場の看板を蹴り倒したい衝動にかられる。

そんな気持ちがマグマのように湧き上がる日々だから、常に臨戦体制。スカートを履く頻度は小さくなった気がする。

ズボンで大股に歩いてポケットに手を突っ込んで歩く自分が好きになってきた時に、自分の道が少し形になってきた気がする。

自分の道は自分が発見していく。気持ちよかった、すこぶる晴天だった。

空を見上げる頻度が上がった。空は高くて、いろんな表情がある。鳥がいたりいなかったり、星があったりなかったり、曇っていたり曇っていなかったり、雨が降ったり雪が降ったり。そのうち雲の形にも詳しくなったし、星座も見分けられるようになあった。

あの時の感動は酔いしれる、幾度も思い出しては反芻して味わう。

独り占めできた。独占欲は幾度も私に自己肯定感を与えた、「あたしだけのもの」。

世界中の女が男を見つめる中、私は宇宙の変化だけを独占した気分になった。

男よりも大きい存在の寵愛を受けているあの優越感はたまらない。


あたしは男には興味がないと嘯く時、あの感覚に酔いしれている。あの独占欲と優越感は世界中の男性が束になってかかってきても感じられない。

あたしを満たすのは宇宙だ。宇宙を独占している優越感、ほんと、たまんない。


音を整えている。ずっと使っていなかったバイオリンは音が狂う。それを調弦している。今はそんな期間だ。

男に興味がないと嘯きながら自分を調弦している、もとの音に合わせようともがいている。

Dark sea hold me blightly because I was born there...

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